『不滅のあなたへ』1巻にて、人間の姿を得た不死身の主人公は当てもなくただ広大な大地を彷徨い歩き続けます。
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そしてその先でようやく出会う人間が、今回ご紹介する「マーチ」という小さな女の子なのです。
マーチの焦れるもの
大人という存在
とある小さな村に暮らすマーチという子は、夜におねしょをしてしまう程まだまだ小さいけれど、だれよりも明るく元気で周りの人々を自然と笑顔にしてしまう陽気な女の子です。
そんなマーチは執拗に“大人”という存在に憧れを抱いていました。

「大人になれば村の伝統の顔につけた墨がとれる」
「大人になれば子供を産んで母親になれる」
それらの特権はマーチにとってたまらなく魅力的で、いつも何かあれば「早く大人になりたい」と言っていたのです。
が。
運命とはどうしてこんなにも残酷なのでしょうか…
村の古い伝統により、なんとマーチは山に住むオニグマ様と呼ばれる神様的存在である熊(バケモノみたいに大きい!)への生贄に選ばれてしまいまうのです。
つまり。
もう絶対、大人にはなれない。
と言うこと。
(食べられちゃいますからね)

伝統とはいえ未来ある小さな子供を犠牲にするなんて……。
一度は諦め大人しく生贄になろうとしますが、しかしマーチは強かった!なんとマーチは儀式へ向かう途中一瞬の隙を見て逃げ出し、その先でマーチは偶然フシと出会い、ここから新たなマーチとフシの物語がはじまります。
母親という存在
マーチと出会ったばかりのフシは「生きる」という概念すら無く、ただ少年の形をした存在でしかありませんでした。そんな時マーチが採った木の実を食べたフシはその新しい刺激(食事)に夢中になり、木の実をくれるマーチという存在を強く意識するよになります。
フシは食べ物をくれる存在と認知したマーチに懐きずっと後をついてくるのですが、その様子にマーチは困ったような笑顔で、でもとても嬉しそうに言います。

男をものにするには胃袋を掴めっていうけど…なるほどこれは単純明快で分かりやすい図ですね。フムフム。
その後、村でマーチと仲の良かったお姉さん的存在のパロナと、儀式を取り仕切る(いわばマーチにとって敵のような相手)ハヤセ、そしてフシと一緒に、ひょんなことから儀式を免れ共にハヤセの住む「ヤノメの国」へと行くことになります。
その道中、マーチはこう言います。

魔物だろうがなんだろうがマーチはかまわないのです。
だってずっと、母親に憧れていたのですから。
フシはマーチの子供?
人としての在り方を知らないフシにマーチは何かと「これはこうするの」「それはダメ」「いいこね」などと、それはまるで我が子をしつける母親のように接します。
長く共に過ごす内、フシにとってもマーチはただ食べ物をくれるだけの存在ではなくなっていき、マーチの言葉に耳を傾け指示にも従うようになってきます。
それはまるで本当の親子のよう。
しかしそんな中、マーチ達をこの国へ連れてきたハヤセがフシの不死身の力を利用しようとマーチ達を牢へと閉じ込めてしまいます。
そこから脱走を企てますが、パロナは捕えられ息絶えたオニグマを見て「もう脅威は無いから儀式は必要ない!」と証明しようとする為にオニグマの首を取って村へ持って帰ろうとします。
けど、首を取るという行為をマーチはとても嫌がります。
マ「この子はただの大きくてこわいくまさんよ、この子には関係ない!」
(自分が初めてこのシーンを見た時「マーチここは大人になれ!」と正直思っちゃいました^^;)
そして皆で逃げる中、パロナはマーチに「大人になったら何がしたい?」と聞きます。
マーチは色々と答えますが。
「とにかく今しらない全部のことを知りたいわ、大人になるってしっていくってことでしょ?」
と、そしてフシへ振り返りこう言います。
「もちろんふーちゃん(フシ)あなたもいっしょ、いっしょにしっていっしょに大人になっていくの」
本当、お母さんですね(*^^)ホッコリ
……しかし、やはり運命とは残酷。
マーチは逃亡中飛んでくる弓矢からパロナをかばい
息絶えます。
そんな走馬灯の中。
なんとマーチが大人の姿に!

美、美人……(//゜-゜//)
あれ、ちょっと待てよ?この子って……
この記事のトップで紹介したコミック2巻の表紙の子じゃね?
まさかのたった数コマしか出てこないマーチの想像上の大人の姿が表紙になっていた!!
あんなにも憧れていた大人にも、ましてや母親にもなることは叶わかったマーチ…。それを思うとこの表紙の大人マーチの姿に熱いものが込み上げてきます(;_:)
マーチは誰よりも大人で母だった
その後マーチを失ったパロナはオニグマの姿を手に入れたフシと共に元の村へと戻っていきます。オニグマにまたがって戻ってきたパロナの姿や、クマから少年へと姿を変る様子に村人は驚きっぱなしです。
しかし、これでオニグマの脅威も無くなり儀式も必要ないと知らせることができ、今後この村の子供たちには自由に大人になる未来が開け。また簡単に物事を片づけようとせず、たとえどんな存在でも「命」あるものへの思いやりを忘れることは無かったマーチ。
はたから見ればマーチは大人にも母親にもなれず死んでしまった可哀そうな子に映るかもしれない。
しかし、
村の子供たちに未来を与え。
古臭い考えを持つ大人達より何倍も大人らしい考えで生きた。
…マーチは誰よりも大人で、皆の母だったのです。
マーチはフシと共に生き続ける
フシはまた歩き出した。
マーチという母から人間らしさを与えられ
そして”マーチ”と共に、また旅に出たのです。
「大人になったら何がしたい?」
「とにかく今しらない全部のことを知りたいわ
大人になるってしっていくってことでしょ?」

その願いは
叶うよマーチ。

これからの物語でもフシは場面によってマーチに姿を変えて旅を続けます。その様子を見てると実はマーチは生きてるんじゃないのか?と勘違いしてしまいそうなくらい当たり前にフシとともに居続けるのです。
母の存在を知って一つ成長したフシの旅はまだまだ続きます。
今回のエピソードは「不滅のあなたへ」コミックス1巻~2巻の間のお話です。
2018年3月現在コミックスは既刊6巻まで出ておりますので是非フシ達のその先の物語も見てみてくださいね!
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