今回『不滅のあなたへ』の作品の中で注目したいのは「パロナ」と言うキャラクターと、とある発言についてです。
パロナという女性
パロナとは
まずパロナとは以前コチラの記事でご紹介した、ニナンナ村で生贄として出されたマーチという小さな女の子と親しくしていた村のお姉さんですね。
この村でパロナは他の女性達と違ってとても野性的で、現代的に言えばボーイッシュとでもいうのでしょうか。「かわいい」より「カッコイイ」女性です。

しかし村で弓の練習をしている時には、見事全部はずしてしまうなど少し抜けた可愛らしさもある様子…。
(真剣に何本も打ってみるが的にすら当たらず、無言で立ち去る…)

パロナとマーチ
そんなパロナは村の中でも、自分を慕い仲良くしている「マーチ」という親しい小さな女の子の事をとても大切にしていて。
マーチはパロナの事を「ねーね」と呼び無邪気に接してきたり、またずっと1人でおままごと遊びをしていたマーチにぬいぐるみを作ってあげたことで、そのごっこ遊びでマーチの旦那さん役に抜擢されたり、とても仲の良い姉妹のような関係でした。

しかしそれからマーチは村の生贄に選ばれ、死にゆく運命に…。
が、パロナは諦めて無かった!
マーチが村の生贄に選ばれ、どうしようも無い状況に陥った時でもたった1人でマーチを助けに向かう勇ましい女性、それがパロナです。
けれどその道中、マーチを生贄にしようとする別の一族と、マーチ、そしてパロナは偶然にも「フシ」と出会い展開は思いがけない方向へ…。
パロナの過去
パロナの勇ましさ
パロナはマーチを守る為なら何でもします!
・マーチが生贄として連れて行かれると…
《敵に弓を放ち、挙句体当たりで阻止!!》
・マーチが今まさに生贄として捧げられた熊に食われそうになると…
《マーチの上に覆いかぶさり自分が盾に!!》
・敵国に捕まった後、逃走中も…
《マーチの為自ら前に出て弓や槍に立ち向かう!!》

いやパロナ、カッコイイ!!
どうしてこんなに立ち向かえるの!?
実はそんなパロナには、忘れられない辛い過去が…。
パロナの姉
先ほど「パロナとマーチはまるで姉妹のよう」といいましたが、実はパロナには本当のお姉さんがいました。
パロナがまだ小さかった頃、お姉さんに「ゲームをしよう」と言われます。自分が戻ってくるまで山の奥で隠れ続け、人に見つかってはいけいないゲーム。
しかしどれだけ経っても姉は戻ってこず、仕方なく村へ戻ると…。

なんと姉は自分の身代りとなって生贄として熊に食べられた後でした。
辛い…辛すぎる(;_:)
姉は妹のパロナを守る為にその身を犠牲にしたのです。何も知らず姉を逝かせてしまった悲しさ、虚しさ、悔しさ、情けなさ…。
そして今回、マーチが同じ目に合おうとしている。
じゃあ自分が戦わずして誰が戦うのか!!
大きくなったパロナは、この境遇と戦うのです。
パロナの葛藤と優しさ
パロナはマーチの為になんでもします。
マーチを救う為なら「優しい姉」にも「勇ましい戦士」にも…。
そして死んだ熊の首を持って村に帰れば、もう生贄は必要ないと訴えることが出来る!と、熊の首を切り取って帰ろうとしますが、マーチに「かわいそうだからやめて!」と言われてしまいます。
これ、違う記事でも言いましたが、もう一度言います。
マーチ、大人になってくれ!!^^;
うん、そう思っちゃうしパロナも「マーチはまだ子供だから分からないんだ」と言いますが、これも言ってしまえば大人のエゴなのかもしれませんね…(._.)
そのマーチの言葉にパロナは首を持って帰ることをやめ、なんとか口頭で村人を納得させると決意します。

『外したんだ』
必死の思いで戦ってきたパロナでしたが…。
残念なことにマーチは戦いの中、敵の矢からパロナをかばって死んでしまいます。
(結局パロナの守りたい人はまたパロナをかばって死んでしまいました…)
その現実に絶望し、一度は自ら命を断とうとしますがマーチの想いとフシの行動からそれは思い留まらされます。
そして村に戻ったパロナはフシを追ってやってきた敵を見つけます。するとパロナは村人から弓矢を受け取りますが「重くて強いしかない」と言われ「それでいい」と答えます。
え、いやいや。だって冒頭であんなに外しまくってたじゃない。離れた場所にいる奴に命中させるなんてまず無理で……

いや当たるんかーーい!!
しかし、本人はなんだか悔しそうに「外したんだ…」と言ってます。
そもそもどうして冒頭での練習ではあんなに外してたのか?もしかしてパロナの身体能力では「重くて強い」くらいの弓が丁度良くコントロールできたのかもしれません。
(もしくはあえて能力を隠していたか)
だって今まであんなに軽やかに戦ってきて運動神経が悪いわけがない!
しかし、しっかり敵の手に命中しているのに「外した」とは…。
きっと狙おうと思えば頭でも心臓でも射抜けたのでしょう。けどマーチの「命と尊ぶ想い」を尊重し、命を奪うことをやめたのかもしれません。
けど本当は殺してやりたいっ…!という思いを押し殺しているため、とても悔しそうに「外したんだ…」と言っているのでしょうね…。
この一連を通してどれだけパロナという女性が「強く」「勇ましく」「優しく」「美しい」人であったか、おわかりいただけたでしょうか?

今回のお話は「不滅のあなたへ」1巻~2巻に収録されております。
是非パロナという女性の勇姿を全編通してご覧になってみてはいかがでしょうか。
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