【ドメスティックな彼女】緻密な”逆算”の物語、読者様からの考察を紹介!

読者様から面白い考察をいただきましたので、

こちらの記事にてご紹介させていただきます。

マジで一読の価値アリ!

緻密な”逆算”の物語

初投稿にて失礼します。

自分は、師走あたりでこの作品に偶然出会い、

一気に通読して最新話まで追いついた新参者です。

 

ゆえに、連載を初期から見守ってきた読者さん方とは

自ずと見方や感想が異なるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

私はこのマンガは、作者の綿密な計算と構成によって

成り立っている稀有な作品だと評価しています。

いわば“逆算の物語”。(既存の作品で思いつくのは『僕等がいた』くらい)

 

大きなものから小さなものまで、

様々な逆算によって出来上がっていると思うのです。

これは、単なるフラグ(伏線)の回収とはやや異なります。

 

大きなもので言えば、何といっても、

ナツオとの関係発覚によるヒナの長期退場でしょう。

 

逆算によって導かれたこの出来事がなければ、

ナツオとルイが恋仲に至るまでの過程を

懇切丁寧に描くことは不可能だったと思います。

 

そして、だからこそ、ナツオの単なる

義姉から義妹への安易な“心移り”ではないことに

説得力を持たせることもできました。

 

215話のナツオとルイの別離もまた、大きな逆算ですね。

これによって、ナツオ×ミヤビ、ルイ×梶田を

存分に描くことが可能となり、

物語に豊かな幅と広がりをもたらすこととなりました。

 

また、ルイがナツオを振る前夜のモノローグでは、

「あたし ナツオのこと――…」と

敢えてルイの心情を伏せ、

228話でのアルへの表明や、

244話でのヒナの問いへの回答において、

別れを決心した自分の真意を重ねて明らかにし、

必然の行為であったことに

明確な根拠を与えることも忘れていません。

 

さらに裏打ちするなら、

ナツオが最後に刺されてしまう184話で、

ルイは「ナツオのこと幸せにしたい」と告げ、

ナツオは「それは“愛”なのでは」と応じます。

 

台詞や独白で明確になったことはありませんが、

ルイが選択した“別れ”は、

ナツオのことを精一杯思いやり、彼女が初めて実践した

“愛”の行動とも捉えられないでしょうか。

 

そもそも、なぜこの作品は、

これほど多様な逆算を必要とするのでしょうか。

逆算の必要性

この作品のタイトルは『ドメスティックな彼女』。

そのものに結末のネタバレが含まれているという、

(かつての名作『ママレード・ボーイ』とかに比べても)

挑戦的な作品です。

 

そして、その“家庭内恋愛”という極めて稀な行為は、

読者に拒絶感や嫌悪感を抱かせる要素とも成り得る、

諸刃の剣とも言えるでしょう。

 

148話でマキが「フツー妹行く? 節操なさすぎじゃない?」

200話でミヤビが「乗りかえ!?」と、

読者の代弁をしているように。

 

202話で、相談を受けたネネはミヤビを諭していますが、

ミヤビは「ごく近しい人」とまでしか言っていません。

 

実の姉妹、ましてや3人揃って同居人だと知ったら、

ネネでさえどう感じたでしょうか。

この辺りの、読者の自然なネガティブ感情を払拭するために、

作者は相当な工夫と構成を駆使して、

この物語を成り立たせているとは言えないでしょうか。

 

ルイという人は、

かつてのナツオとヒナの恋人関係に引け目を抱き、

ナツオとの繋がりに常に“運命”を求め続けてきました。

 

そして作者は最新話にて遂にルイに

「それ(妊娠)も含めてあたしの運命」と言わしめました。

 

この台詞の成立こそ、これまでの積み重ね、

すなわち逆算が奏功した結果だと思います。

 

258話でのルイ妊娠発覚は、私も含めて、

多くの読者が仰天したことでしょうが、

これが単なる場当たり的な展開ではないこと、

そして、クライマックスに向かっての

大きな逆算であることに相違ないのではないでしょうか。

 

少なくとも、前話のナツオ「最高のプロポーズじゃん」は、

253話で帰国するナツオにルイが頼んだ

「プロポーズはあたしから」を受けてのものですよね。

 

こういう小技、いわば小さな逆算の積み重ねこそが、

この作品の醍醐味の一つだと思うのです。

 

さらに挙げるなら、162話にて、ルイに

「あたしたちの関係 どうしようと思ってる?」

と問われたナツオは、こう独白しています。

 

「前者(妊娠)ならいい それも含め先を考えるまでだ」と。

まさかこれが、前話の

「ルイとならそうなってもいいと思ってた」

に繋がることまで当時から想定していたかは

作者のみぞ知る所ではありますが(笑)

ルイの妊娠について

ルイの妊娠についても冷静に考えてみました。

大学生のナツオと違って、

ルイは社会人2年目の立派なサラリーウーマンです。

 

そして、3年目での結婚・妊娠・出産は、

同年の大学3年生とは全く違い、珍しいことではないでしょう。

 

それにルイは、一人では稼ぎも生活もままならないような

ただの20歳の小娘ではないのです。

 

こう考えると、ルイ父の祝福と対応は、

大いに頷けるものですし、そういう点でも前話は、

前々話で生じた様々な(読者の)衝撃や不安を和らげる、

ほぼパーフェクトな出来だったと評価します。

 

そして、やや唐突に思える、

ヒナルイ母の“禁断への許し”も、

数話後への小さな逆算に間違いないでしょう。

 

ヒナの「色々あったし“色々あるから!”」や、

「この先どうなっても あんまり驚かないで?」は、

残された2つのビッグイベント(大課題)の1つ、

「ナツオとルイの家庭内恋仲(と妊娠)を家族に打ち明ける」

に当たって、事前に緩衝材を置くもので、

ヒナが大きな役割を果たすのは間違いないと思います。

何しろヒナは2人の最大の理解者でもあるのですから。

 

何もきっかけがなければ、恋仲の披瀝は

ナツオの大学卒業以降くらいまでは黙っておくのが

自然な流れでしょう。

 

しかしそれではメタ的にも今後の物語の起伏の維持は難しく、

(「あれから2年後――」とかされるのは最悪ですね)

 

何より、その間のヒナはヘビの生殺し状態のままで、

これではいたたまれません。

 

普通の結婚適齢期の女性なら、

いつまでの年下の元カレなどに固執せず、

新しい恋に向かうものですが、

残念ながらヒナは、置かれた特殊な環境と

これまで味わってきた哀しい経験によって、

それができずにいる不憫な(は言い過ぎか?)女性です。

 

妹の妊娠による物語の急転は、

ヒナにとっても新たな幸せを見つけるカウントダウンが

始まったのだ、と思えるのです。

ヒナの未来

残された最後の大課題である「ヒナの身の処し方」。

 

ルイが人との“運命”を希求したキャラだとすれば、

ヒナは人への“愛”を体現したキャラだと思います。

 

ゆえに、“恋”の側面のみから、安易に従来キャラや

新キャラとくっつけるとはとても考えにくく、

こればかりは作者の力量に期待するところ大です。

 

この物語がどんな結末

(難しいでしょうができれば大団円)を

見せてくれるのか、楽しみでなりません。

 

最後に細かいことを指摘すると、、

ヒナルイ母は、ナツオとヒナが惹かれ合ったのは

再婚・同居後のことだと思っている、

すなわち同居がヒナとナツオをくっつけた原因だと

考えているのではないでしょうか。

 

正確な描写(台詞)がないので当否は不明ですが、

ご承知の通り、ナツオのヒナ“先生”への慕情は

それより以前からのものであり、

ルイへのそれ=同居したからこそ育まれた恋、とは

決定的に異なるものです。

この辺りも何かカギになってくる気もするのですが…。

 

ナツオとルイが「瞬間、身体、重ね」た、

(エヴァネタかよ!w)

あの120話でのナツオ父の「AV観る時はもっと音量下げなさい」は、

実はナツオとルイの恋の営みに気づいてしまった

誤魔化しなのでは、とさえ思ってしまうのですが、

さすがにこれは邪推が過ぎますかね(笑)

以上、長文駄文にて失礼しました。

 

 

 

考察コメントありがとうございました!

文章がキレイで読みやすいですね。

 

私は目の前の出来事に一喜一憂しちゃうタイプなので、

こうやって作品全体を俯瞰して、

いろいろと考察できる頭の良さは尊敬します(^^)

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